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北朝鮮がICBM級弾道ミサイル発射、EEZ外に落下と推定

更新日時
  • 飛しょう距離は約1000キロ、最高高度は約6000キロを超えると推定
  • 北は戦勝記念日を前に緊張あおり、挑発行為の正当化試みる-専門家

防衛省は12日、北朝鮮が午前9時59分ごろ、平壌近郊から1発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したと発表した。同11時13分ごろ、日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下したと推定しているという。

  弾道ミサイルは北海道の奥尻島の西方約250キロメートルに落下した。飛しょう距離は約1000キロで、最高高度は約6000キロを超えると推定している。NHKは防衛省による情報として、弾頭の重さなどによっては射程距離は1万5000キロを超え、アメリカ全土が射程に含まれる可能性があると報じた。ミサイルの飛しょう時間は約74分で過去最長だったという。

  松野博一官房長官は、高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道で発射されたものと考えている」と述べた上で、「今回のICBM級弾道ミサイルは現時点ではいわゆる衛星と称するものとは異なると考えている」と語った。

  政府は官邸対策室に緊急参集チームを招集して協議を行うとともに、国家安全保障会議(NSC)四大臣会合を開催した。

  北朝鮮は、自国のEEZに米軍の偵察機が侵入したとし、空軍機をスクランブル発進させたと国営の朝鮮中央通信(KCNA)を通じて発表した。こうした侵入が続けば「衝撃的」な結果が待ち受けている可能性があるとも警告し、緊張が高まっていた。

北朝鮮、米軍機EEZ侵入で空軍機が緊急発進と発表-米韓に警告 

  北朝鮮がICBM級のミサイルが発射したのは4月13日以来。ミサイルに搭載可能な核弾頭の一層の小型化を進めているとされており、従来の液体燃料に比べ短時間で機動的に発射できる固体燃料式の新型ICBM「火星18」の発射実験を行った。  

  新アメリカ安全保障センター(CNAS)の非常勤シニアフェロー、キム・ドゥヨン氏(ソウル在勤)は、「北朝鮮は5月に初の偵察衛星の打ち上げに失敗した後、国内の結束を図るために戦勝記念日を前に緊張をあおり、まずは米国の偵察機に対して一連の脅しと厳しい言葉を浴びせることで、今後の挑発行為を正当化しようとしている可能性がある」との見方を示した。

    北朝鮮は5月31日に軍事偵察衛星の打ち上げを試みたが、軌道に乗せることができなかった。日本政府は再度の発射に備えて自衛隊に出していた弾道ミサイルに対する破壊措置命令を継続し、警戒に当たっていた。

  6月16~18日に開催された朝鮮労働党中央委員会第8回総会の報告では、この失敗を今年上期の「最も重大な欠陥」として挙げ、早急に2回目の発射を行う方針を示した。ただ、韓国軍合同参謀本部が発表した声明によると、失敗した衛星の残骸を黄海から回収し、米韓の専門家が分析した結果、軍事的有用性はないとの結論に至ったという。

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(官房長官の発言など詳細を追加して更新しました)
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