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フェンディ、ハイジュエリーがインスピレーション源。複雑で親密なコレクションを披露【2023-24年秋冬クチュール 速報】

フェンディ(FENDI)率いるキム・ジョーンズは、デルフィナ・デレトレズ・フェンディのハイジュエリーをヒントに制作。宝石の色彩、緻密な装飾、ジュエリーを引き立てる流麗なシルエットを披露した。

7月6日(現地時間)に発表された、フェンディ(FENDI)2023-24年秋冬オートクチュールコレクション。今シーズン、アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズは、創業家の4代目でありジュエリー・アーティスティック・ディレクターであるデルフィナ・デレトレズ・フェンディよるハイジュエリーにヒントを得た。

「複雑さが隠れたシンプルさというアイデアが用いられている」というショーノートの言葉通り、繊細な芸術性に光が当てられたコレクション。ファーストルックをはじめ、イブニングガウンはミリ単位で調整されたクチュールならではのドレーピングの妙が輝いている。

その流麗なシルエットは、メゾンのルーツであるローマの彫像を彷彿とさせると同時に、デルフィナのハイジュエリーを存分に引き立てるものである。

デルフィナによる宝石を敷きつめたハイジェエリーは、「F」のモチーフが流線的に描かれたものも。精密さと洗練が共存し、衣服に寄りそい、身につける人をこの上なく引き立てる。

初登場となる一点物では、ジュエリー界のオーソリティであるホワイトとイエローのダイヤモンドに加え、ピンクのパパラチアサファイアやスピネルが披露された。中でも、セットピースのピンクスピネルは、40年がかりで集めたという、二度と実現が不可能なほど希少なピースである。

ヌーディーな色に加え、ルビー、サファイア、ブラックダイヤモンドといった、宝石の色合いにインスパイアされたカラーパレットや刺繍を採用したルックも交じり、豊かな旋律を奏でていた。ほとんどのモデルたちが抱えていた小さなジュエリーボックス型のイブニングバッグも、今シーズンのムードを高めている。

コレクションの後半は、宝石を散りばめたような装飾や同色のスパンコールやストーンの刺繍に注目したい。とりわけ、煌めくローズの輝きを実現するために約1,200時間もの手作業を要したというラストルックは、もっと間近で見て触れたくなるほどの圧倒的な美しさを放っていた。

身体をソフトに包み込むと同時に、軽やかで優美。体の動きにしなやかに沿うそのシルエットと、近くで見ないと分からない複雑な芸術性は、身につける人と親密な関係を生み出しぬくもりを感じさせるものである。