米国人弁護士が香港に住む外国人に警告-警官とのもみ合いで禁錮刑
Iain Marlow-
外国人は政治と距離を置いていても警察の標的になる可能性がある
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警官に暴力を加えたとして約4月半の禁錮刑-ビケット氏は控訴中
香港で私服警官とのもみ合いを理由に禁錮刑を言い渡された米国人弁護士が、香港に住む外国人は政治と距離を置いていても警察の標的になる可能性があると警告した。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチでアジア太平洋コンプライアンス(法令順守)担当ディレクターだったサミュエル・ビケット氏(37)は「特に経済界では一部の欧米人は香港で警察の標的になり得る外国人としてのリスクを最小限に抑えている」とレディットに投稿。その上で「私の事例が示しているのは、警察が欧米人を標的とした訴追を恐れていないということだ」と指摘した。
ビケット氏は15日にニュースとディスカッションを扱うウェブサイトで自身の体験について発言したほか、16日にはインタビューに応じた。
警官に暴力を振るったとして禁錮約4月半の刑を7月に受けた同氏は控訴し、現在は保釈中。警官ではないと言っていた男による攻撃を地下鉄の駅で止めようとしていたとビケット氏は主張している。
香港警察の報道官は係争中の個別案件にはコメントしないとする声明を発表。「個人の背景や政治姿勢に関係なく、全ての逮捕は収集された証拠に厳格に基づき、香港の法律に準拠して執行されている」とした。
中国は昨年、政権転覆と国家分裂、テロ、外国勢力との結託を禁じた香港国家安全維持法(国安法)を導入したが、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同法が対象とするのは少数の犯罪者で、2019年の大規模デモを受けて安定回復に必要だと説明していた。
ビケット氏は16日に行ったテキストメッセージのやり取りで、「有罪とされるまで、香港では警察が優位にあるにもかかわらず、司法当局と裁判所は憲法で独立性が保障されており、これが法の支配を確保していると無邪気にも信じていた」とコメントした。
香港政府と司法当局の担当者はコメント要請に応じなかった。
原題:U.S. Lawyer Convicted Over Police Fight Warns Hong Kong’s Expats(抜粋)