暗号資産、30年前の商品の活気-元ゴールドマン・トレーダーの新天地
Justina Lee-
「商品市場で30年前にあった楽しさ全てが、今はもう楽しくない」
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裁定取引や先物取引など伝統的資産で十分試された体系的戦略を駆使
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トレイ・グリッグス氏や他のウォール街のトレーダーは、2兆4000億ドル(約261兆円)規模の暗号資産(仮想通貨)市場という新天地で活気を取り戻しつつある。
元ゴールドマン・サックス・グループのトレーダーで、エネルギー取引に20年携わったグリッグス氏(51)は、ゴールドマン時代の同僚に誘われ、今年2月にデジタル通貨のマーケットメーク(値付け業務)という新世界に足を踏み入れた。
デジタル通貨業界にはびこる非効率性やボラティリティー、全く奇妙な特性に付け入り、伝統的スタイルの金融の秘訣(ひけつ)を駆使しようと同氏は闘志を燃やしている。
グリッグス氏は、価格差を利用するアービトラージ(裁定取引)や先物取引など、伝統的資産クラスで十分に試された体系的戦略を活用しようとしている暗号資産の新規参入者の1人だ。
GSRマーケッツ(本社ヒューストン)の米最高経営責任者(CEO)を務める同氏は「商品市場で30年前にあった楽しさ全てが、今はもう楽しくない。そのような楽しさは今は暗号資産に存在する」と語った。
株式のマーケットメークは、ヘッジファンド運営会社シタデル傘下のシタデル・セキュリティーズやハイフリークエンシートレーディング(HFT、高頻度取引)業者バーチュ・ファイナンシャルなどの寡占状態に近い。
何百もの交換業者がより低速で無料アクセスを提供する暗号資産市場では、GSRはHFTインフラに多額の投資を行うことなく、大量のトレードから利益を得ることが可能だ。
低金利と規制、混雑状態の取引で今や退屈なものとなった株式・債券・通貨のあらゆるストラテジーにとって、乱立する暗号資産交換業者の至る所で、もうかるトレードの世界が広がっている。もしくは、そのように考えられている。
原題:Wall Street Uses Old Tricks in $2.4 Trillion Crypto Jungle (1)(抜粋)