FASHION / NEWS

グッチは68組のツインを起用した驚きの演出に。映画『グレムリン』のギズモも登場!【2023年春夏 ミラノコレ速報】

グッチ(GUCCI)は、68組の双子のモデルたちが登場。ショーでは別々の部屋を歩いていたが、フィナーレでは壁が外され、ペアが手を繋いで歩く驚きの仕掛けでエモーショナルなショーを見せた。

Photo: Courtesy of Gucci

今季のテーマは、「ツインズバーグ(Twinsburg)」。これは、米オハイオ州にある地名で、約200年前に一卵性の双子によってつくられた町として知られている。実は、クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロは一卵性の双子の母に育てられ、”2人の母”と暮らしながら、二重の寵愛を受けという。

「私の二人の母はそっくりに見えましたが、実際はお互いを映し出すことで、それぞれを補完し合う関係でした。一人がもう一人と一体化しながらも、二人は決して同じであったわけではないのです」とアレッサンドロ。双子はどんなに見た目がそっくりであっても、それぞれが異なっていて、同一性は不可能だという。

特にファッションは、人々の個性を表現できるツールの一つ。今季のグッチは、オリジナル(原型)とコピー(複製)の関係性を考察しながら、多様なカルチャーやスタイルをミックスして、人々の異なる個性をコレクションに反映してみせた。

演出の壁が取っ払われた瞬間、誰もが鏡だと思い込んだ。しかし、笑顔で駆け寄り、もう一人がリードをするように手を差し伸べるような仕草をみせた瞬間。このコレクションの意図が理解できた。手を繋ぐ双子を見守る観衆は涙ぐむものも多くいて、エモーショナルで心を動かされるものがあった。


映画『グレムリン』のギズモなど、アイキャッチーな要素が盛り沢山。

序盤は、トム・フォードがグッチのデザインを手がけていた頃のエッセンスが色濃く出ている。ガーターパンツスーツスタイル、スリットを入れたレッドドレス、深いUネックが特徴的なオールホワイトのセットアップなど、セクシーな要素が際立つ。

また異なる時代や国のスタイルミックスや、華美な装飾など、アレッサンドロが得意とするマキシマリズムなデザインも健在。英国のリバティープリントを用いた花柄のブラウスやパンツをはじめ、シノワズリのドレスや鯉を刺繍したスカートなど、異なるルーツを感じさせるアイテムがそろう。

さらに1971年に設立されたイタリア初のLGBTQ+の権利のために活動した団体「FUORI!!!」(英語でアウトを意味する言葉)のロゴもポイントに。デニムのオーバーオールにプリントしたり、ジャケットにスパンコール刺繍を施したりと大胆に取り入れている。これは、ちょうどイタリアが同性婚に関する重要な選挙を控えているところで、その権利に対する訴えだとも読める。(9月25日の投開票で、中絶や同性婚に反対する宗教右派のジョルジャ・メローニ党首率いる右派連合が勝利した)。

 
80年代の映画『グレムリン』のキャラクターであるギズモも、今季アイコニックなモチーフとして登場。ハーネスを着用したギズモのチャームがバッグやボトムスに飾られ、ネックレスやシューズにもあしらわれている。『グレムリン』は来年、アニメ版の新シリーズが公開予定だ。

インパクト溢れるアクセサリーも豊作。

乗馬の世界にインスピレーションを得て、1981年に登場したバッグを再解釈したショルダーバッグをはじめ、ランダムなキルティングが印象的な新作バッグもお目見え。過去に人気を博したGGパターンのテディベアは、ラインストーンで装飾され、大きな目玉がインパクトのあるバッグとして再提案されている。

アイコニックなローファーは、足のつま先の形をデザインに取り入れたスクエアトゥで刷新。無数の大きなビーズをあしらったヒールやグラディエーターサンダルなども目新しい。

世界中のセレブリティが集結。

Photo: Courtesy of Gucci for Getty

フロントローには、ジェシカ・チャステインやデイジー・エドガー・ジョーンズ、ジョディ・ターナー=スミスら、ブランドとゆかりのある俳優たちが着席。また韓国の人気シンガーIUや、タイの俳優ダビカ・ホーン、日本からは満島ひかりや冨永愛の姿もあった。

Photo: Armando Grillo / Gorunway.com   Text: Mami Osugi