欧州委、ユーロ圏成長見通し上方修正-ワクチン普及や復興基金稼働で
Alexander Weber-
今年のユーロ圏成長率予想を4.3%に引き上げ-従来3.8%
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共同復興基金稼働の効果を予想に反映させた-22年はさらに加速へ
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、ユーロ圏の2021年成長率予想を上方修正した。新型コロナワクチンの普及加速と共同復興基金の稼働、世界経済の回復による輸出への追い風が見通しを改善させた。
今年の成長率予想は4.3%と、これまでの3.8%から引き上げられた。8000億ユーロ(約10兆5600億円)の共同復興基金の効果を初めて予想に反映させた。27カ国から成るEUの域内総生産(GDP)は年内に新型コロナ前の水準を回復するとし、回復時期の予想を前倒しした。
22年には温暖化対策やデジタル化のプロジェクトに共同基金の資金がさらに多く流れ込み、成長は加速する見通し。回復ペースは依然として域内でまちまちで、フランス、スペイン、イタリアの経済がパンデミック以前の水準を回復するのは22年になるとみられる。
欧州委のドムブロフスキス副委員長は報告で、「まだ難局を脱してはいないが、欧州の経済見通しははるかに明るくなった」としながらも、「多くの困難な作業が残っているほか、パンデミックが続く限り多数のリスクがわれわれを脅かす」とコメントした。
欧州委によると、各国政府がパンデミック対応で企業や家計に大規模な支援を行った結果、ユーロ圏の公的債務は昨年、域内総生産(GDP)の100%に初めて達した。今年の102%でピークに達し、22年は101%とわずかに低下する見込み。
インフレ率は今年1.7%に上昇するが、22年は1.3%に低下すると予想した。景気回復が予想以上に強い場合や現在起きている供給不足の問題が長引く場合は、さらに上昇する可能性があるとしている。
原題:
Europe’s Economic Prospects Brighten on Fiscal Support, Vaccines(抜粋)